2011-09-23

Bullying ~前編~

久しぶりに、5年生の教室で授業をしました。


今学期、わたしの学校では「いじめ」に関する活動を行っています。
(ブラジルでは、「いじめ」に当たる言葉に英語の「Bullying」を用いることが多いです)
本を読んだり、調べ活動をしたり、まとめとして掲示物やポスターを作ったりと、
学年ごとに、いろいろな方向から取り組んでいるようです。

そんな中、5年生の担任の先生方と話すうちに、
日本のいじめについて、授業をしてほしいということになりました。
重いテーマだけに、わたしのポル語力で大丈夫なのかという不安はありましたが、
昨日(21日)、挑戦してみました。




今回、
わたしが題材として選んだのは
この絵本です。

松谷みよこさん(文)、味戸ケイコさん(絵)の
『わたしのいもうと』。




日本にいるときに買ったもので、今回、急いで送ってもらいました。

転校先で、「いもうと」がクラスメイトから酷いいじめを受け、
家族や医者の助けもむなしく、命を落としてしまうという、実話に基づく作品です。
最後のページにある、
「わたしをいじめたひとたちは、もう わたしをわすれてしまったでしょうね。
あそびたかったのに。べんきょうしたかったのに。」
という言葉には、胸が詰まる思いがします。

絵も印象的で、「いもうと」の顔はどのページにも出てきません。
後ろ姿のみが描かれ、心を閉ざしてしまった彼女の心情を静かに伝えています。

とても力のある題材なので、
きちんと読み聞かせをすれば、
多くを語らなくとも、子どもたちが感じるものがきっとあるに違いないと考えました。
そこで、
訳した文を語学学校の先生に添削してもらって、丸暗記しました。





緊張したので
詰まってしまう場面も
ありましたが、
生徒たちは
真剣に聞いてくれました。

それは、
やっぱりこの絵本の力なのだと
思います。




 





ブラジルでも、いじめは深刻な問題としてメディアで大きく取り上げられ、
いじめに関する授業を行う学校は増えていると聞きます。

でも、ブラジルには本当にいろいろな人がいて、
肌・髪・瞳の色も違うし、体型や顔のつくりだって、文字通りの「十人十色」です。
だから、ブラジル人は日本人に比べて違いを受け入れる能力が高いと思います。
日本人は、ほとんど日本人しかいない環境で暮らしているがゆえに
ちょっとした違いに敏感です。
そのうえ、自分を他人と比べて劣っている部分を観がちなので、
どちらかというと「違い=欠点」と考えることが多い気がします。

その結果、「みんな同じ」という集団意識の強さのあまり、
ほんのちょっとした違いが原因なのに、
いじめは陰湿で残酷で、終わりがないものになってしまうのだと思います。
加えて孤立化。
これらの性質は、日本のいじめ特有のものではないでしょうか。




海外で暮らしてみて、
とても閉鎖的な日本の一面を、
情けなく、もったいなく感じるようになりました。
わたしは日本が好きですが、
もっとみんなが幸せに生きられる国になればいいのにと、心から思います。




授業の様子については、次回書きます。




2 件のコメント:

  1. Anjélica!
    この前はコメントありがとう☆
    私も生徒と、日本の学校の決まりの話になったよ。髪、ピアス、マニュキア、化粧…。
    「なぜ、ダメ?」と聞かれて答えられない自分がいたよ。もちろん、勉強に集中するとかいろんな理由があるけど、それだけじゃ、説得力ナイなって。
    こっちでは、みんな違いに関して、寛大だよね。むしろ、当たり前。ブラジルに来た頃、そんなブラジルが好きだなって思ったんだった。
    グローバル化が進んでるんだから、日本ももっと、よりよい生きやすい国になるといいなって思うよ。

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  2. Milena
    日本の校則は、ブラジルの生徒から見たら
    とっても厳しいものだよね。
    でも、日本が大切にしてる「けじめ」を養うためには
    大事なことだと思う(いきすぎてる部分もあるけど)。
    ブラジルには「けじめ」がなさすぎるなって思う。
    学校でも社会でも、グレーゾーンが広すぎ。
    もはや、グレーってゆうかカラフル(笑)

    ブラジルに来てから、
    「違い」に関してよく考えるようになったよ。

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