2012-02-06

弓場農場の生活 ~前編~

前回紹介した第一アリアンサ移住地区から歩いて40分くらいのところに、
「弓場農場(ゆばのうじょう)」という、日系人が共同生活をしている場所があります。





広大な自然の中にあるこの弓場農場は、
「耕し、祈り、芸術する」をモットーに
弓場勇さんという方が創設したものです。
1935年のことでした。





食事やお風呂は全て共同。
自分たちの生活に必要なものは、全て自分たちで作って分け合うという共同社会です。


食事係、畑仕事の係、お風呂の薪を切る係など、住む人みんなが何らかの役割をもっていて、
個人資産のために働くという概念はありません。
「利益は全体の物」として考えられているのです。








真っ青な空の下に、
果てしなく続くマンゴーの木々。

収穫された果物は
周辺の町に出荷し、
農場の経営を助けています。











太陽をいっぱい浴びたマンゴーは、
とっても甘くておいしいです。






グアバ、パパイア、スイカなどの果物だけでなく、
毎日の食事に使う野菜も全て農場内で作っています。

ナス、豆類、トウモロコシ、ゴーヤ、ケール、マンジョッカ、なんでもあります。
カカオでチョコレートも作るそう。




珍しいものもいっぱいありました。

中でも、この写真の
ハナオクラ(オクラの花だっけ?)
という植物はとても気に入りました。






この花びらをそのまま食べるのですが、
食感はシャキシャキしてるのに、
オクラみたいに粘りがあるのです。

色も鮮やかできれいです。








もちろん、お米も作っています。

この日に収穫したばかりのお米を
いただきました。
久しぶりにいい香りのする白米を食べました ^^






シイタケもあります。

研究を重ねた結果、
マンゴーの木で栽培するのが
いちばん良いということでした。
すごいなぁ。






牛、鶏、豚の飼育もしています。

鶏卵は生みたてなので生で食べられます。
(ブラジルのスーパーで売っている卵は
賞味期限が恐ろしく長いので、
怖くて生では食べられません…)






ここで生活する人たちの共通言語は日本語です。
子どもたちは、生まれたときから日本語で育ち、学校でポルトガル語を覚えます。




図書館には
日本語の本がたくさんありました。

ポルトガル語の本は
一割にも満たないくらいです。






そして、
毎年クリスマスの時期には、演劇や音楽の発表会が行われます。

この農場には、多くの芸術教室があります。
バイオリン、管楽器、ピアノなどの音楽教室や、バレエ教室も。

特にバレエは有名で、国内外問わず
多くの記念式典などに招待されたりしています。
日本でも何回も講演しているそうです。






農場の人みんなで建てた舞台は、
一週間ほどで完成したそう。

照明器具もバッチリ。

控室は
とっても味がある雰囲気でした。









すてきな陶芸の部屋もありました。

日本祭りなどで売り、
その売り上げを農場の経営に
回すのだそうです。








仕事で汗を流し、芸術を楽しむ。

とてもシンプルだけど、人間にとって大事なことなのかもしれません。

このシンプルさにひかれてか、
日本からの旅行者が引っ切りなしに訪れているみたいです。

日本のストレス社会に疲れてふらっとやって来てみたら、
あまりの居心地の良さに1年以上も滞在してしまった、なんてパターンもよくあるらしいです。

わたしが訪れたときも何人か旅行者がいて、
もはや現地の人と見分けがつかないくらいに馴染んでいました。






ただ、
こんなすてきな農場にも、やっぱり難しい面はあるようです。

20世帯以上がともに暮らしているので、人間関係のもつれもあるでしょう。
若者が外へ出て行ってしまい、少子化も進んでいます。
10年後にはどうなっているか分からないという声も聞きました。
さみしいなと思いますが、時代の流れには逆らうことはできません。




かたくなに祖国の文化守ろうとする立場も、同化に身を任せる立場も、
どちらも間違ってはいないと思います。


混血がどんどん進む今日のブラジル。
日系社会の在り方が大きく変わろうとしている現状を、
この農場を訪れてまた強く感じました。

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